F/T Books
ジュンク堂書店池袋本店、東京芸術劇場アトリエウエスト ほか

F/T BOOKS

 書籍を通じて、F/Tや舞台芸術に一歩、足を踏み入れることのできる企画が「F/TBooks」です。
 今年はF/Tに参加するアーティストの方々に「未来の古典」というテーマで、この先長い年月を経ても人々に必要とされるであろう本、されるべき本を選んでいただきました。他にもアーティストが創作に影響を受けた本や、演目に関しての知識を得られる本などを紹介していきます。
 観劇前にアーティストにとっての、表現の材料や燃料としての本を知ることによって、アーティスト自身のことをより深く知ることができ、観劇がより楽しいものになります。

ジュンク堂書店池袋本店にて、F/T特設コーナー設置中!
F/T期間中、アーティスト選書の紹介&販売をおこなっています。ぜひお手にとってご覧ください!
ジュンク堂書店 池袋本店 9F芸術書フロア(エスカレーター前)
開設期間:10月7日~11月12日

    ジュンク堂書店の様子


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アーティスト選書

『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』
柴 幸男 による選書

ゲンロン0 観光客の哲学

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ISBN:978-4-907188-20-7/ゲンロン/2484円


あなたが救える命 世界の貧困を終わらせるために今すぐできること

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ISBN:978-4-326-15430-2/勁草書房/2700円


家族最後の日

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ISBN:978-4-7783-1555-9/太田出版/1836円


 

マレビトの会『福島を上演する』
松田正隆 による選書

ドゥルーズ・コレクション 権力/芸術

私たちの上演が試みようとするのは出来事の演劇であるが、それは、ドゥルーズの思想から大きな影響を受けている。この論集には、「創造行為とは何か」が収められており、ものつくりだすことが「抵抗」であることが端的に述べられている。私たちの闘いの指南書。
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ISBN:978-4-309-46410-7/河出書房新社/1404円


ヒロシマの人々の物語

歴史的カタストロフをいかに語るかを、ジョン・ハーシーのヒロシマについてのルポルタージュへの言及を通して論じている。主体と対象という人間的な語り口から被爆者の動物的な体験へと、言語表現の水準が移行すること。そのことに私たちの劇言語も多くの示唆を得た。
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ISBN:978-4-907105-04-4/景文館書店/562円


エドワード・ホッパー

静謐な光景。窓の内・外の人物。あまりにもありきたりなポーズ。演技の演劇からポーズの演劇へ。ドラマ(劇・動き)を感情的なカタルシスとして上演にもたらすのではなく、空間と時間の次元へ開くこと。ここにある「凡庸な一瞬の時」の絵画が私たちに何かを考えることを促す。その何かがわからないのだ。
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ISBN:978-4-00-008987-6/岩波書店/3024円


 

まちなかパフォーマンスシリーズ
中野成樹+フランケンズ『半七半八(はんしちきどり)』
中野成樹 による選書

うなぎ 一億年の謎を追う

うなぎが好きです。食べるのはもちろんですが、生態というか、存在の仕方に魅力を感じます。うなぎって未だ謎だらけなのです。その昔、「うなぎは泥から生まれる」と言われていたそうで、とにかくずっと“どこで生まれるのか…?”がわからない存在でした。いや、それって格好よすぎでしょ、という。本書は、「うなぎの謎」に「うなぎの卵の発見」からせまってゆくものです。子供向けに書かれており、一気に読めますが、身近にある不確かさをたっぷり味わえます。身近にある不確かさ……。愛、とかですかね。
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ISBN:978-4-05-203612-5/学研教育出版/1512円


世界遊園地大全 想像を超える、世界の楽しい遊園地

遊園地が好きです。なかでも特に、上へ下へ、右へ左へ、グルングルン・ブワンブワン振り回してくれる乗り物が好きです。子供の頃の「高い、高〜い!」を思い出すのでしょうか?自らの意志とは関係なく、何か大きなものの意思を感じつつ、物理的な快楽に集中するというか。遊園地に行くと感じるある種の切なさは、そういったところに由来するのかもしれませんね。無償の愛が唯の物理につながる感じ。この本は、写真をパラパラ眺めるだけで、相当心に揺さぶりをかけてくれます。
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ISBN:978-4-7661-2956-4/グラフィック社/1836円


別役実の演劇教室 舞台を遊ぶ

別役実が好きです。そして演劇が好きです。とにかく、冒頭の文章が最高で、何度これに励まされ、救われたことか。といいつつ、本編も相当に濃いです。演劇についての、理路整然とした法則にも感じられるし、芸談集のような皮膚感覚と経験則の集積にも感じられる。舞台を遊ぶ。どうにも今更な気がする言葉ですが、それでも確かに、舞台というものはそうとしかつかみ取れないものなのだと教えてくれます。
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ISBN:4-560-03572-5/白水社/1944円


 

まちなかパフォーマンスシリーズ
『アドベンチャーBINGO!!』
福田毅 による選書

ゴドーを待ちながら

まぁ読むのも演るのも「めんどくさい」作品。とらえ難い、というか、座りが悪い、というか。めんどくせぇー!とイライラしながらも、どこか楽しんでいる自分がいるし、何か捨て置けないものが埋まっているのは確信している。100年経ったら(待ったら?)もっとめんどくさい作品になっているんじゃないでしょうか?
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ISBN:978-4-560-07183-0/白水社/1296円


命名

日本最古の漫画といわれる「鳥獣戯画」が、当時の人達にどのように読まれていたかは正確には分からないわけで、ならば「命名」が1000年後にどのように読まれるのか。国宝になってたりしたら、「漫画」として最高のオチなんだけどなぁ。
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ISBN:978-4-88379-174-3/青林工芸舎/1296円


華氏451度

表現しきれないもどかしさ&そこからくる歯切れの悪い物語の運び、そして(あえて)不完全なまま筆を置く勇気。正直、小説としての完成度は低いです。でもいびつさや不完全さは、長く読み継がれる魅力であると思います。あ、トリュフォーの映画版も好きです。
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ISBN:978-4-15-011955-3/早川書房/929円


 

まちなかパフォーマンスシリーズ
『アイ・アム・ノット・フェミニスト!』
遠藤麻衣 による選書

近代家族の成立と終焉

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ISBN:4-00-002742-5/岩波書店/2808円


いきものとなまものの哲学

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ISBN:978-4-7917-6759-5/青土社/2592円


おだんごぱん ロシアの昔話

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ISBN:978-4-8340-0057-3/福音館書店/1296円


 

まちなかパフォーマンスシリーズ
『Family Regained: The Picnic (ファミリー・リゲインド:ザ・ピクニック)』
森 栄喜 による選書

ストレンジ

ささやかに出会い、揺れて沈み、一緒にゆっくりと微笑みを取り戻す、、、。人と人との間に起こる”あたたかい摩擦”に救われる。そのことをいつも忘れないために。
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ISBN:978-4-8458-5131-7/リイド社/724円


メモランダム 古橋悌二

国、人種、HIV、職業、セクシャリティー、、、あらゆる境界線を越えて、エイズ危機以降の失われたユートピアの中で、彼自身の言葉を借りれば「最も“愛”に近い創造物」とともに、アートと現実を強力に接続したDumb Type古橋氏の記録。その愛の記録はどの時代でも闘争している人々の強いよりどころとなるはず。
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ISBN:4-89815-038-1/リトル・モア/2376円


まなざしに触れる

男性の身体が性記号として今後ますます露出され消費されていく社会の流れの中で、男性が男性により”まなざされる”時、その戸惑いや困惑、あるいはまんざらでもない感情の行き先について、ほんの先の未来にあらためて、この本を手がかりに考えてみたい。
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ISBN:978-4-8010-0047-6/水声社/3240円


 

まちなかパフォーマンスシリーズ
快快『GORILLA 〜人間とは何か〜』
快快(FAIFAI) による選書

落語と私

落語は現世肯定の芸であるとする米朝が中高生向けに書いた落語の入門書。人間とは何かという事についても書かれていると思います。世の中の余裕の部分から生まれる、おあまりの世界。これが100年後もあると良いと思います。そこに結局人間のヒントがあると思います。タイトルのシンプルさも格好良い。
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ISBN:4-16-741301-9/文芸春秋/594円


UFOとポストモダン

20世紀アメリカにおけるUFO言説を分析した本。UFOや宇宙人には流行があり現代社会の意識を反映している、その意味を考察したとても興味深い本です。面白いです!UFOの目撃情報が増える時、世界は漠然とした不安に晒されている事がわかります。この本をヒントに1つ作品を作ったほどです。
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ISBN:4-582-85309-9/平凡社/778円


ゴリラは戦わない

ゴリラを通して生きること、言葉や常識の違うものと交流することなど多くの学びがありました。この方程式は、言葉や常識の違う異国の人や、赤ちゃん、犬などの動物、そして宇宙人と会った時にもおおいに役立てる事だと思います。
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ISBN:978-4-12-150575-0/中央公論新社/864円


 

『実験と対話の劇場 – 新しい人 / 出来事の演劇 -』
演劇計画・ふらっと、 我妻直弥 による選書

海獣の子供

線を引くということは、ものを描くのに必要な情報と不要な情報、価値あるものと価値なきものを選ぶという、図々しい行いです。それでも五十嵐さんの線が、芳しかったり喜々としているのは、分からないものを、分からないままに線を引くからだと思います。線を引くことでかえって、線では書けない意識が滲み出る。意識の潮流に乗ることで、ある成れの果てを目撃するようです。
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ISBN:978-4-09-188368-1/小学館/771円


演劇計画・ふらっと、 福井 歩 による選書
 
※「作家として影響を受けた本、今回のクリエイションで影響を受けた本」というテーマで選書いただきました。

舞台の水

太田省吾の文章は、駆け足では読めない。普段の情報を読み流すスピードだと、文章のもつ呼吸との間にずれが生じてしまう。しかし文章と自分の呼吸のテンポが一致すると、読書という行為が、身体全体の運動へと変化していく。情報を取り入れる読書は、胸から上が疲弊するが、文章と並走する読書は、思考が腹で行われる。胸から上の読書に比べ、消化には時間がかかる。遅ければいいとか、早ければ悪い、というわけではないが、慣れ親しんだはやさを引き延ばすことで、あらわれてくるものが多分にある。

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ISBN:4-906010-59-8/五柳書院/2160円


   
シラカン による選書

実際に存在した一人の人間に焦点を当てて描かれた作品として、僕が読んできた作品の中で一番考えることが多かった作品です。価値観は時代とともに変わっていきます。変わらないことはありません。その中で当時の価値観を登場人物の持つ矜持だったりといった譲れない部分と丁寧に掛け合わせながら浮かび上がらせることに成功している作品だと思います。一人一人考えてることが違うのだということを優しく読者に伝えてくれる作品です。

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ISBN:978-4-10-309738-9/新潮社/3996円


   
関田育子 による選書

造形思考

本屋ではないところで退屈しのぎに買った本で、出会えてよかったと心から思う一冊。色々なことをに教えてくれる良い先生と出会った。自分が言葉にできないことをクレーの言葉を浴びることで整理していける。画家である彼は言語だけでない表現を用いて語ってくれる。音楽にも親しみの深いクレーの言葉には音も色も光も付いている。と。私は感じる。

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ISBN:978-4-480-09601-2/筑摩書房/1728円


   
玉城大祐 による選書

結ぼれ

僕が演出を始めたころから、いまでも創作の度に読み返す本です。いくつもの結ぼれた対話が収録されており、明確な解釈を与えられるような本ではないからこそ、折に触れこの本と対話を試みる度、新しい何かを見出し、自己の現在地の確認を試みる事が出来る。創作者としての自分にとってパートナーのような一冊です。読者との対話を求めるこの本をこれから先、よりたくさんの人に読んでほしいと思います。

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ISBN:4-622-04911-2/みすず書房/2592円


 

F/Tステーション
伊藤孝仁 による選書

中動態の世界 意志と責任の考古学

英語の授業で初めて耳にする「能動態」と「受動態」、つまり「する」と「される」という私たちが使っている言語構造の外側に、そこからは容易に想像することができない「中動態」という世界がかつてあったという。能動態と中動態という対比から、徐々に能動態と受動態という対比のパースペクティブに移行していった世界には、どのような力が働いていたかを解き明かしていく本書の中で、社会をシステム化していく為に「責任」という概念が要請され、付随して「意志」の存在を自明のものとして社会化していく動きを見ることができる。「意志」とは、過去から切り離された、0から生まれるもののことである。しかしどのような行為も、経緯や周囲の状況や心理状況等の、つまり過去と地続きの影響に晒された「選択」でしかないのという視点に立つ時、現在の言語世界に縛られない新しい景色が見えるかも知れない。
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ISBN:978-4-260-03157-8/医学書院/2160円


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学習の生態学

社会の中には様々な学習がある。40個ほどの机が並び、1時間間隔で様々な科目の授業を受ける学校があり、会社でもそれに似た新人研修がある。あるいは職人の元に弟子入りし、職とは関係のない生活のあらゆることを共にして、親方の背中を見ながら技術を習得していくような学習の環境もある。本書は学習を社会科学的なテーマとして捉え、学習環境の社会的なあり方の分析を通して、組織のあり方について検証している。学習は失敗というリスクを常に伴う現象であるが、そのリスクによって組織が硬直するのではなく、より動的で実験的で創造的な組織が、現在の社会の中でどう成立しうるかを検討している。様々なクリエイションのヒントが詰まっていると思う。
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ISBN:978-4-13-011127-0/東京大学出版会/4104円


   
冨永美保 による選書

ロッタレイン

歪な空気感を告白されているような記述の漫画である。会社、家族、学校という複数の社会の中で生きる登場人物たちの、それぞれの視点や感情に焦点を当てることなく、風景としてそれらが並列に描かれている。互いの観察によって関係がつくられていくような状況を描くときに常に奥行きがある風景を切り取って全体が構築されているさまは、漫画というよりは映画のようだ。ひとコマずつ読み進めるごとに、生っぽい妙な質感がある。そこに自分はいないはずなのに、どこか参加させられているような気持ちにさせられる。複雑で鮮やかな生身の現実を圧倒的な解像度で照らし出す、新しい記述であるように思う。

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ISBN:978-4-09-189527-1/小学館/750円


岡崎に捧ぐ

小学生の時、毎日のように遊ぶ女の子の友達がいた。駄菓子を買い食いしたり、運河に出かけて岩の間を歩いたり、いたずらをして知らない大人に怒られたりしていた。その子は、小学校の終わりに、鹿児島に引っ越してしまった。まだお互いに幼いがしっかりと自我があるような、何者にもなれていない頃からの友達というのは思い出として美しい。認め合って一緒にいるだけの仲だからこそ、特に互いに何かを期待を持たずに、ただ信頼があるような、陽気な愛と気楽さとがあっさりと同居していたように思う。この本も同じように、女の子ふたりの関係性のドキュメンタリーである。「たまごっち」や「こっくりさん」、「ゲームボーイ」、「ガラケー」、「恋の話」などの、世代によっては他人事に思えないようなムーブメントとともに、ふたりや、彼女たちを取り巻く周囲の様子がせきららに描かれている。時代の産物とともに描かれるふたりの小さな物語を見ていると、(関係にどんな名前をつけるかは人それぞれだと思うが)一種の歪な恋のようである。濃密な関係性と追体験が一気に襲ってくるような一冊である。特に、20-30代前後の女性たちに読んでもらいたい。

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ISBN:978-4-09-179207-5/小学館/850円


   
阿部太一 による選書

空間の詩学

何度読んでも一向に分からない本というものがある。この本もまさにそれだ。詩を語る言葉も詩になっているような、フランス語の原文でさえ解釈に難儀するであろう文章を、日本語に翻訳しようとしている時点で無理もない。もう10年も前から僕の本棚にあり、ときより10頁ほど読み、また棚に戻すということを繰り返している。文字だけ追っていても一向に頭に入ってこないのだ。だが、こちらがバシュラールの言葉に精一杯のイメージを広げるとき、ときよりその向こうに「存在」が感じられる。それはこの本の中に出てくる「たましい」というものかもしれない。その、「存在」を感じられる様になりたくて、また本に手をのばす(そしてやはり、10頁ほどで疲れきってしまい、本棚に戻すのだ)

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ISBN:4-480-08724-9/筑摩書房/1728円


造形思考

線を1本引いてみる。世界が分割される。そのとなりにもう1本引いてみる。リズムが生まれ、面が現れる。更にもう1本、もう1本と増やしていくと、気づけばその連なりからエネルギーが生じ、1つの宇宙が立ち上がる。そのとき、線自体はなにも語っていない。線と線の間からどのようなイメージが沸き立つのか、クレーはときに厳密に、ときに遊戯的に、ときに独りよがりに語っていく。解釈の跳躍を恐れる様子もなく突き進むクレーの言葉に、そんなものはちっとも論理的ではない、只の夢想だというのは容易い。しかし、というこそが、人間の活動がますますAIに置き換えられていくだろう未来において、人間が生きているということを証明するものであると信じている。

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ISBN:978-4-480-09601-2/筑摩書房/1728円


   

F/Tキャンパス
白神ももこ による選書


※「作家として影響を受けた本、今回のクリエイションで影響を受けた本」というテーマで選書いただきました。

飛び立つスキマの設計学 シェルターからコックピットへ

私は、よく人がお勧めしている本が気になって読むのですが、この本もたまたまダンサー、振付家でもありアーティスト(絵を描いたり多彩な)のAokidくんがお薦めしていた本です。丁度その頃、作品の中で「スキマ」について考えていたのでタイトルに「スキマ」とあるのに引っかかったのでした。エッセイなので読み易く、教育現場を良く知り、アートディレクターなども務める椿氏の視点やアイデアの広げ方、社会とのつながりなどが興味深く書かれておりました。さらに様々なジャンルで独自の哲学を持った方々との対談なども入っていて、生き方、考え方、周りの「こうあるべき」に惑わされない自分のリズムを見定めてどう活かしていくのかというヒントを沢山もらって勇気づけられた気がします。
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ISBN:978-4-7825-3400-7/産学社/2484円


パンと昭和

先日、『パン』という小作品をモモンガ・コンプレックスで作るにあたって読んだ本です。身近な題材から作品を作ることが多いのですが『パン』は、最初はただ『パン』という言葉の響きから着想を得ていましたが、身近な(食べる)パンと人間のつながりとか日本人とパン食とかパン屋さん大好きだし知っておこうと思って読んでみました。題名や背表紙から得るメッセージからも分かるのですが、日本にどうしてこんなにもパン食が入って来たのか、国の政策が絡んで学校給食をはじめとした末端の庶民の食生活が変貌を遂げていったことなどを読んでいくと、今もスーパーマーケットに行けば世界や日本の情勢、さまざまな思惑がうっすら透けて見えてくることを感じました。食とは生きることに直結している分、私たちの食生活にも何かしらの思惑が働いているんだよ、ということをしかと胸にとどめた本。
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ISBN:978-4-309-75023-1/河出書房新社/1998円


   
長峰麻貴 による選書

肉体のアナーキズム 1960年代・日本美術におけるパフォーマンスの地下水脈

風倉匠というパフォーマーで、アーティストがいた。メディアアーティストのはしりでもあるナム・ジュン・パイクが「世界でもっとも無名なで無名な有名人」と評したアーティスト。風倉さんにあったのは、劇団四季をやめて福岡にり自分自身の制作活動を始めた時期。3号倉庫というシェア・アトリエでディレクターであった風倉さんの制作を間近でみつつ、手伝いつつ制作をしていた。風倉さんのパフォーマンスをみたとき、アートとも演劇ともとれるパフォーマンスに衝撃をうけ自分自身が自由になった。と、同時に日本のパフォーマンスというものにも興味をもつようになった。この本は唯一日本のパフォーマンス史に焦点をあてたかなり貴重でレアな本。風倉さんの活動ももちろん記されている。

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ISBN:978-4-903341-12-5/grambooks/4536円


ザ・スタディ・オブ・コムデギャルソン

コム・デ・ギャルソンの存在を知ったのは美大に入ってからだ。毎回新しいコレクションが出る度にファッションを超えた発想のクリエイションに常にドキドキさせられた。社会人になって、はじめてギャルソンの服を買った。確か「ねじれ」をテーマーとしたようなコレクションで、身体にそって斜めにシェイプしたようなニットジャケットだった。袖を通したとき、その服の自由さに思わず笑みがこぼれた。それから少しづつギャルソンの服をコレクションしはじめ、大事なイベントやプレゼンのときには、ギャルソンの服を身にまとうようになった。ギャルソンの服は、よく言われてはいるが気持ちを解放する戦闘服そのものだ。そして、またギャルソンの服をまとうには自分自身も強い志をもってなくてはいけない気もする。正直これは服なのかという服を創り続けながら、世界中で注目されビジネス的にも成功しているデザイナーはほぼ稀である。この本はそんなコム・デ・ギャルソンのクリエイションとビジネスの秘密を丁寧に分析してある。

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ISBN:4-89815-100-0/リトル・モア/2571円


   
萩原健 による選書

ポストドラマ演劇

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ISBN:4-8102-0137-6/同学社/3780円


パフォーマンスの美学

レーマンの原書は1999年、フィッシャー=リヒテのそれは2004年刊行で、ちょうど今世紀への変わり目をはさんで世に出た。この世紀転換期にいたるヨーロッパで広く認められた、戯曲を軸とした演劇概念にゆさぶりをかける様々な上演例をつぶさに記述・考察したのが前者、対する後者は、前者が挙げる事例を含め、主に前世紀から行われてきた、テクストよりもむしろ俳優・観客の身体やそれらが在る場を重視した上演を総括して論じた試みとして、演劇研究史上、非常に大きな意義を持つ。今世紀に入る時点で注目すべき新機軸とされた演劇実践の数々を、および、それらの多くを参照して新たに行われた理論化の試みを、後世の人々が知ろうとするときに、きわめて重要な2冊である。また後者に関しては、同著者はその内容の一部を活かし、演劇研究の入門書『演劇学へのいざない』(2010)を上梓した。こちらも邦訳(2013)があるのでぜひ参照されたい。

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ISBN:978-4-8460-0328-9/論創社/3780円


   
稲村太郎 による選書

わたしを離さないで

未来では「クローン」や「臓器提供」は取るに足らない話かもしれない。しかし、私はその背景に描かれている若者の希望と絶望、生と死に心が揺さぶられ、普遍性を感じた。蜷川幸雄が演出、倉持裕が脚本を手掛けた演劇作品として、また、綾瀬はるかが主演したテレビドラマとして広く知られ、原作を含めて本書の評価は賛否両論があるが、きっと未来でも、多くの示唆を与えるだろう。

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ISBN:978-4-15-120051-9/早川書房/864円


日本を再発明する: 時間、空間、ネーション

「日本」が発明された概念で、それを再発明できるという本書の主張に興味を持って本書を手にした。昨今、「日本人は日本をよく知らない」と主張する人も少なくないが、そもそも「日本」という概念はいつ成立し、その「日本」はどのように編み出されたのだろうか。また、「日本」という概念と引き換えに、私たちは何を手に入れ、何を失ったのだろうか。100年後に日本が「日本」として存在するかは分からないが、そんな問いを再考する絶好の一冊である。

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ISBN:978-4-7531-0319-5/以文社/3024円

イベント

『アイ・アム・ノット・フェミニスト!』関連イベント

フェミニズム公開勉強会
―現代美術家と考える等身大のフェミニズム―



『アイ・アム・ノット・フェミニスト!』の創作のために定期的に開催してきた「フェミニズム勉強会」を、ジュンク堂池袋本店にて一般に公開して行います。創作の参考にした書籍も多数紹介、知っているようで知らない「フェミニズム」についてみなさんと一緒に学んでいきます。
普段見過ごしてしまっている違和感に立ち止まって、「フェミニズム」について一緒に考えてみませんか?ぜひご参加ください。
詳細はこちら



【開催概要】
日程:10月18日(水) 19:30~(会場:19:00)
会場:ジュンク堂書店池袋本店 9Fギャラリースペース
   〒171-0022 東京都豊島区南池袋2丁目15−5
受付:ジュンク堂書店池袋本店1階サービスコーナー、もしくはお電話にて。(03-5956-6111)
入場:入場無料

展示

アーティストが選書した本の展示があります。

・豊島区立中央図書館 9月23日(土)〜11月23日(木)(休館日を除く)
東京芸術劇場アトリエイースト 10月4日(水)~11月15日(日)

    F/Tステーションの様子


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関連ニュース

F/Tステーションがオープンいたしました。BOOKS展示コーナーも充実しています!