4.48 サイコシスアーカイブ

12月20日(日)にF/TステーションでF/T09秋劇評コンペ優秀賞発表・講評会が行われました。
受賞者の皆様、おめでとうございます!


<優秀賞受賞作品>

柴田隆子氏 美しい静寂の地獄絵図 ―『神曲―地獄篇』 

堀切克洋氏 「本物」はどこにあるのか――『Cargo Tokyo-Yokohama』評

百田知弘氏 『あの人の世界』 劇評


追って審査員の皆様からの各作品・全体についてのご講評をアップいたします。
どうぞお楽しみに!

 3日間ぐらいずっとあそこにいた気がする。
 世界との折り合いがうまくつかない。
ネオンサインや音楽に満ち満ちた、きらきらする世界は不自然でグロテスクだ。奇妙に距離を置いたところに存在しているように感じられる。
 観劇後、生まれたばかりの赤ん坊のように、世界を感じた。私の精神と肉体は血を流していた。この肉体に血が通っていることを思い出した。長く忘れていた。
 "生きる"という難題と重責を、観客は両肩にずしりと乗せられて劇場を後にする。

 会場内に案内されると、普段舞台として使われるスペースに客席が仮設されていて、プロセニアムア
ーチの向こうには本来の客席がビニールに包まれて並んでいるのが見える。その手前には、血の池を
思わせるように赤い液体が舞台の端から端まで長方形に覆っている。
 開演が告げられる前からすでに作品は進行している。正面の壁には"A very long silence"という戯
曲の一行目が投影されているからだ。