F/Tトーク➀
マレーシアのマルチメディア・アーティストのファイルズ・スレイマンと、現代美術家ロスリシャム・イスマル(イセ)。それぞれのアプローチで都市を捉え、さまざまな地域で先駆的なアートプロジェクトを展開し注目を集める彼らを招き、同国におけるアートシーンやカルチャーの現状について、都市やコミュニティに焦点をあてたトークを開催する。
ファイルズ・スレイマン
1982年プタリン・ジャヤ生まれ。ビジュアル、マルチメディア・アーティスト。マレーシアのマルチメディア大学MMU Cyberjayaで映画とアニメーションを学ぶ。主にアナログな手法を用いながら、デジタル様式も取り入れる作品で、インディーズバンドのミュージックビデオの制作、短編映画のアニメーションの制作、音楽イベントでのVJ、舞台演出など幅広い活動を展開している。日常に溢れる物事を主題として扱い、ライブに近いかたちで様々な作品を手掛ける。ユーモアにあふれた親しみやすい物語や手法の中に、シニカルな社会的なメッセージが込められた作品はマレーシアのアート関係者の中でも高い評価を受けている。Digital Art + Culture(DA+C)フェスティバルのプログラム・ディレクターも務める。
ロスリシャム・イスマイル(イセ)
1972年コタバル生まれ。マラ工科大学卒業。都市コミュニティにおける個人的な経験と大衆文化をもと創作する現代美術家。インスタレーション、ビデオアート、参加型プロジェクトなどその表現方法は多岐に渡る。主な作品にマレーシアの家庭に伝わる料理や伝統をテーマにした「The Lagkasuka Cookbook」(2012)は、英国統治時代に国境が引かれたマレーシアとタイの狭間の地域で生まれた軍隊の食事「マウンテンライス」を、その土地に暮らす祖母の昔の記憶を頼りに、レシピとイラストをまとめ一冊の本にするというアートプロジェクト。またシンガポール・ビエンナーレでは地元の各家庭の冷蔵庫の中身を展示するインスタレーション作品「Secret affair」(2015)を発表し、食を通じて、その土地で暮らす人々やコミュニティ、生活様式や文化を浮かび上がらせる作風で知られている。
聞き手:小川希 (Art Center Ongoing 代表/TERATOTERAディレクター)
1976年神楽坂生まれ。2001年武蔵野美術大学卒。2004年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。2002年から2006年に亘り、大規模な公募展覧会 『Ongoing』を、年一回のペースで企画、開催。その独自の公募システムにより形成したアーティストネットワークを基盤に、2008年に吉祥寺に芸術複合施設Art Center Ongoingを設立。現在、同施設代表。また、JR中央線高円寺駅~国分寺駅区間をメインとしたアートプロジェクト『TERATOTERA(テラトテラ)』のチーフディレクターも務める。
会場 | 東京芸術劇場 アトリエイースト |
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日程 | 10/22(土) 15:00 |
入場料 | 500円(予約優先) |
言語 | 英語(日本語逐次通訳付き) |
共催 | 国際交流基金アジアセンター |
F/Tトーク➁
2011年に創刊した『知日』。中国人が中国語で中国人読者に向けて、日本を紹介することを目的とした月刊誌。これまでの特集には、「猫」「漫画」「妖怪」「鉄道」「武士道」「断捨離」「お笑い」「山口組」「富士山」などがあり、多彩な特集を組んでいる。「猫」「漫画」「料理」「武士道」は10万部を売り上げている。 本誌の創刊者であり元編集長である蘇静を登壇者に迎え、『知日』のメイン読者である中国の若者の現状や中国での出版事情、中国の流行などをテーマに、今の中国の現状を掘り下げてトークを開催する。
スー・ジン
1981年湖南省生まれ。大学入学を機に北京へ上京。卒業後、自主映画製作を経て、大手民間出版社に入社。20代にしてミリオンセラー(袁騰飛 著『歴史是個什麼玩意児?』(日本語で「歴史って何なんだ?」)を出版し、敏腕編集者として活躍。30代初めに会社を設立し、2011年に経営者兼編集長として『知日』を創刊。現在では経営に注力するため編集長を退き、2014年に『奇点社』というコンテンツインキュベーション事業を立ち上げ、『知日』を初め、複数の月刊誌の運営を続けている。
会場 | あうるすぽっと ホワイエ |
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日程 | 12/4(日) 13:00受付開始・開場は開演の30分前 |
入場料 | 500円(予約優先) |
所要時間 | 120分(予定) |
言語 | 中国語(日本語通訳付き) |
F/Tトーク③
『Woodcutters ― 伐採 ―』の原作者トーマス・ベルンハルトとはどのような人物で、その作品の魅力とは? オーストリア演劇が専門の寺尾 格先生をお招きし、原作の舞台でもあるウィーンの演劇事情についてお話を伺います。
講師:寺尾 格(専修大学教授)
1951年生まれ。東京都立大学経済学部卒業後、人文学部独文学科に再入学、同大学院博士課程修了。専修大学教授。著書に『ウィーン演劇あるいはブルク劇場』(2012)、翻訳にヴェルナー・シュヴァープ『かぐわしきかな天国』(2003)、フィリップ・レーレ『走れゴスポディン』ほか多数。現在、オーストリア文学会誌『オーストリア文学』編集長。
会場 | 東京芸術劇場 アトリエイースト |
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日程 | 10/19(水) 19:00 |
入場料 | 500円(予約優先) |
言語 | 日本語 |
共催 | オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム |
F/Tトーク④
クリスチャン・ルパは1983年からクラクフ国立高等演劇学校で後進の指導にあたっており、現代ポーランド演劇を代表する数々の演出家を輩出してきました。 F/T15で開催した「ポーランド演劇の現在形」では、20代〜40代の3世代にわたる演出家の活動を紹介しましたが、本トークはその続編として、最も若い世代のポーランド演劇に詳しいグジェゴシュ・レスケ氏から彼らの作品の実験性やレパートリー性に関するお話を伺います。
講師:グジェゴシュ・レスケ(アートプロデューサー)
1980年生まれ。ルブリン大学で美術史を学んだ後、クラクフ大学とワルシャワ大学の大学院で文化政策を専攻。2003年から2013年までポーランドで最も歴史のある独立系劇団Provisorium Theatreのプロデューサーを務めた。2007年からルブリンの国際演劇フェスティバルKonfrontacje Teatralneのジェネラルプロデューサーを務め、2013年からはマルタ・カイルと共同でキュレーションを行っている。ルブリン、ワルシャワ、カリシュなどポーランド国内で多彩な活動を行っており、それらの経験をもとにした書籍『I’ll kill you, Baby! How to quit successful cultural project』を現在編纂中。
会場 | 東京芸術劇場 アトリエイースト |
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日程 | 10/20(木) 19:00 |
入場料 | 500円(予約優先) |
言語 | ポーランド語(日本語逐次通訳付き) |
共催 | ポーランド広報文化センター、Culture.pl |
後援 | 駐日ポーランド共和国大使館 |
展示
F/T16や上演演目にまつわる展示を行います。
9/24(土)~11/24(火) 豊島区立中央図書館 Toshima City Central Library
10/1(土)~11/30(水) 豊島区庁舎まるごとミュージアム Toshima City Office
アンジェリカ・リデル ドキュメンタリー映画上映
アンジェリカ 『ある悲劇』(2016)
監督:マヌエル・フェルナンデス=バルデスF/T15『地上に広がる大空(ウェンディ・シンドローム)』で大きな衝撃を与えたスペインの鬼才アンジェリカ・リデル。同作品が初演を迎えるまでの日々を追ったドキュメンタリー映画を特別上映。上映後には、今年7月にアヴィニョン演劇祭で初演されたアンジェリカ・リデル新作『わたし、この剣でどうしよう』に出演した菊沢将憲(俳優・映画監督)と横堀応彦(F/T プログラム・コーディネーター)によるトークセッションを開催します。 *本上映は、セルバンテス文化センター東京主催「映画・音楽フェスティバル ドゥエンデ」のプログラムの一部です。
会場 | セルバンテス文化センター東京地下1階オーディトリアム |
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日程 | 12/1(木) 19:00~ |
上演時間 | 86分 |
言語 | スペイン語上映、 |
入場料 | 入場無料(要予約) |
共同主催 | フェスティバル/トーキョー、セルバンテス文化センター東京 |
マヌエル・フェルナンデス=バルデス
1979年ポンテベドラ生まれ。マドリード在住。ポンペウ・ファブラ大学(バルセロナ)でクリエイティブ・ドキュメンタリーの修士号を取得。最初の長編ドキュメンタリー映画『マヌエルとエリサ』(2008)ではガリシアの田舎における老夫婦の日常を描き、Play-Docドキュメンタリー映画祭で賞を受賞。長編ドキュメンタリー2作目『フラガとフィデル』(2013)は1992年にガリシアで行われたマヌエル・フラガとフィデル・カストロの会談をテーマとし、世界各地の映画祭で上映されている。『アンジェリカ – ある悲劇』(2016)は2016年4月にBAFICIブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭BAFICIで上映され、今回の東京での上映がアジア・プレミアとなる。
菊沢将憲
劇作家・演出家・俳優・映画監督。最近の出演作にNODA・MAP『逆鱗』や中国の烏鎮演劇祭にて最高評価を得たミクニヤナイハラプロジェクト『桜の園』、アヴィニョン演劇祭で初演されたアンジェリカ・リデル新作『わたし、この剣でどうしよう』などがある。また映画監督作品では『親父と俺、ただ面白く生きる也。』(日韓ムービーアワード2009/日韓海峡圏映像賞受賞)や『おーい、大石』(PFFアワード2016入選)などがあり、俳優と映画監督、両方の分野で高い評価を得ている。次回出演作はあうるすぽっとプロデュース『ノイズの海』(2016年12月15日〜18日)。http://kikuzawa1974.blogspot.jp/
ドイツ・ダンス月間
F/Tで来日するスザンネ・リンケ、セバスチャン・マティアスを機軸に、映像、批評ワークショップ、シンポジウムなどによって、ドイツ・ダンスの過去と現在を包括的に紹介します。 詳細はこちら(東京ドイツ文化センターHP)
会場 | 東京ドイツ文化センター(東京都港区赤坂7-5-56 ドイツ文化会館内) |
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入場料 | 入場無料(ただし、➁ダンス批評ワークショップのみ事前登録が必要:info@tokyo.goethe.org) |
主催 | 東京ドイツ文化センター、フェスティバル/トーキョー |
①アウスドルック・モビール -ナチスの迫害から逃れたドイツ表現主義舞踊の舞踊手たちのその後
展示「アウスドルック・モビール」では、ナチスの迫害を受けてドイツからの逃亡を余儀なくされた約30名のドイツ表現主義舞踊(Ausdruckstanz)のダンサーたちを取り上げ、それぞれの亡命の理由や経緯、その芸術的立ち位置を紹介します。また、彼らが亡命先の国のダンスシーンでどのような影響を及ぼしたのか、そして1945年以降、故国に戻ったとき、亡命先の国からどのような革新的な表現をドイツに持ち帰ってきたのか、この2つの側面に特に光を当てます。 展示は日本語によるAusdruck Mobilのウェブサイト、ビデオ、ダンサーたちの略歴などです。 11月4日には内容紹介を兼ねてレセプションを行います。どなたでもご参加いただけます。 展示:2016年10/31(月)~11/5(土)、11/14(月)~11/19(土)10:00-18:00(10月31日のみ16:00-18:00) レセプション:2016年11月4日(金)18:00 –
②「批評の作法」-ダンス批評講座
『tanz』誌の編集者で舞踊批評家のアルント・ヴェーゼマンによるダンス批評講座。参加者と共に 『x / groove space』 のゲネプロを事前に鑑賞し、それを題材に「批評」という行為の本質を問い直します。 11/3(木・祝)13:00-18:00、11/4(金)19:00-21:00 (11/2、『x / groove space』 のゲネプロ鑑賞を含む)
③「ダンスという概念の現在形」
本シンポジウムでは学術的観点からダンスを捉え、活気にあふれるさまざまな日独のダンスシーンをダンス研究の視点で紹介します。ドイツで最も名誉ある賞といわれる、ドイツ研究振興協会(DFG)のゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞の受賞者であるガブリエレ・ブラントシュテッター教授をお招きし、日本とドイツの若手研究者らを交え、最新のコンテンポラリーダンス作品に触れながら、ダンスの概念の今について議論します。 ブラントシュテッター教授は、「コンテンポラリーダンスにおける「気付き」、ソマティックメソッド」をJefta van Dinther、Anne JurenやSebastian Matthiasらを引用し紹介します。ドイツからの若手研究者のマリアマ・ディアーネはPina Bauschや田中奈緒子を例とする「影の芸術としてのダンス」を、ホルガー・ハートゥングは、Louise Ann Wilson、関美奈子らに視る「フィギュアと運動の形象ムーブメント」を発表します。 「オーサーシップから見る振付概念の変容」を早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、越智雄磨が、「コンテンポラリーダンスにおける振付創作過程の解明」を東京大学、中野優子が発表します。 ラウンドテーブルでは第一セッションにてファシリテーターを務めるダンス研究者 ダンスドラマトゥルク 中島那奈子と大阪大学 古後奈緒子、振付家 セバスチャン・マティアス、ブラントシュテッター教授が聴衆と一緒にテーマについて意見を交わします。
ガブリエレ・ブラントシュテッター
2003年よりベルリン自由大学で演劇学の教授に就き、ドイツで初めての舞踊学講座を開設しました。現在、ベルリン自由大学の演劇学科「International Research Center 『Interweaving Performance Cultures』」は世界の舞踊学の中心として、欧米の各国、オーストラリア、ベニン、ブラジル、中国、エジプト、イラン、イスラエル、韓国、レバノン、モロッコ、ナイジェリア、セネガル等からフェローが集まっています。ベルリン自由大学では文学・音楽学・演劇学・芸術学・歴史学を跨ぐ学際的な研究が行われています。