1969年生まれ。2002年ユニットPort B(ポルト・ビー)を結成。演劇を専門としない表現者たちとの共同作業によって、既存の演劇の枠組を超えた前衛的な作品を次々と発表。創作の拠点「にしすがも創造舎」がある池袋・巣鴨一体では、サンシャイン60が象徴する日本戦後史を巡る3部作として、舞台作品『雲。家。』、ツアー・パフォーマンス『サンシャイン62』、演劇的インスタレーション『荒地』を発表し、演劇界のみならず現代アートの文脈からも大きな注目を集めた。F/T09春では、これまでの活動の集大成として、『雲。家。』『サンシャイン63』の2作品を再創造・同時再演し話題を呼んだ。現実の都市や社会に存在する記憶や風景、メディアなどを引用し再構成しながら作品化する手法は、「来るべきもの」としての現代演劇の可能性を提示する試みとして、国内はもとより海外のフェスティバルや美術展でも大きな注目と期待を集めている。
02年東京にて結成。高山明がドイツで培った演出メソッドを叩き台に、演劇以外の活動に携わるアーティストや職人を中心に演劇的実験を繰り返す。
活動は多岐にわたる。「演劇(的)テクスト」に取り組んだ舞台には、ブレヒトの第一詩集『家庭用説教集』を素材とした『シアターΧ・ブレヒト演劇祭における10月1日/2日の約1時間20分』(03年)、H.ミュラー『ホラティ人』(05年)、E.シュレーフ『ニーチェ』(06年)、E.イェリネク『雲。家。』(07年)がある。
他方、高島平をフィールドワークし団地で暮らす人達を舞台に招き入れた『Museum: Zero Hour 〜J.L.ボルヘスと都市の記憶〜』(04年)や、隅田川をフィールドワークした成果と謡曲『隅田川』をクロスさせた『Re:Re:Re:place 〜隅田川と古隅田川の行方(不明)〜』(05年)はドキュメンタリー性の強い舞台である。
近年は更に、実際の都市をインスタレーション化する“ツアー・パフォーマンス”なるものを企画。「おばあちゃんの原宿」巣鴨地蔵通りを舞台にした『一方通行路』(06年)、東京観光の代名詞はとバスを使った『東京/オリンピック』(07年)、池袋サンシャイン60の周囲を5人一組の参加者が巡った『サンシャイン62』(08年)、山口情報芸術センターでのプロジェクト『山口市営.P.』(08年)は、各種メディアに取り上げられるなど好評を博した。
また、“演劇的インスタレーション”と称される作品の系譜に、旧豊島区立中央図書館における『荒地』(08年)、旧ソウル駅駅舎を使った『東西南北』(08年)、茨城県取手市井野団地での『団地大図鑑』(08年)等があり、これらは現代美術の領域においても注目を集めた。
いずれの活動においても「演劇とは何か」という問いが根底にあり、「きたるべきもの」としての現代演劇を追求している。
ウェブサイト: http://portb.net/
03年10月 『シアターΧブレヒト的ブレヒト演劇祭における10月1日/2日の約1時間20分』構成・演出(シアターΧ)
04年5月 「ベルリン演劇祭・若手演劇人の為の国際フォーラム」参加
04年9月 『Museum: Zero Hour 〜J.L.ボルヘスと都市の記憶〜』構成・演出(シアターΧ)
04年12月 インスタレーション『inter-view』制作(ギャラリー・アップリンク)
05年3月 H.ミュラー作『ホラティ人』構成・演出(シアターΧ)
05年5月 ベルリン「Intransit演劇祭」より招聘、パフォーマンス作品の構成・演出(世界文化の家)
05年12月 『Re:Re:Re: place 〜隅田川と古隅田川の行方(不明)〜』構成・演出(アサヒ・アートスクア)
06年3月 E.シュレーフ作『ニーチェ』演出(BankArt NYKホール)
06年11月 ツアー・パフォーマンス『一方通行路 〜サルタヒコへの旅〜』構成・演出(巣鴨地蔵通商店街)
07年3月 東京国際芸術祭にてE.イェリネク作『雲。家。』演出(にしすがも創造舎特設会場)
07年11月 はとバス・ツアー・パフォーマンス『東京/オリンピック』構成・演出(東京全域)
08年3月 東京国際芸術祭にて『東京/オリンピック』再演
08年3月 ツアー・パフォーマンス『サンシャイン62』構成・演出(池袋周辺地域)
08年6月 演劇的インスタレーション『荒地』構成・演出(旧豊島区立中央図書館)
08年10月 ソウルの現代美術展「プラットフォーム」にてインスタレーション『東西南北』制作(旧ソウル駅)
08年10月 「取手アートプロジェクト」にてインスタレーション『団地大図鑑』制作(取手井野団地)
08年12月 山口情報芸術センター にてツアー・パフォーマンス『山口市営P』構成・演出
08年12月 フォーラム型演劇公演『ディクテ・フォーラム』構成(横浜市内各所)
09年3月 フェスティバル/トーキョー09春にてE.イェリネク作『雲。家。』と『サンシャイン63』を再創造・同時再演
1965年生まれ。87年東京工業大学工学部建築学科卒業。87年から88年までパリ建築大学ベルビル校。90年東京工業大学大学院修士課程修了。92年に貝島桃代とアトリエ・ワンを設立。94年東京工業大学大学院博士課程修了。同大学大学院准教授,工学博士。UCLA, Harvard GSDなどでも客員助教授を務める。主な受賞暦に、平成11年度東京建築士会住宅建築賞金賞(『ミニ・ハウス』99年)、第16回吉岡賞(『ミニ・ハウス』00年)他、American Wood Award (『ハウス・サイコ』01年)、建築学会選集(『ガエ・ハウス』04年)、グッドデザイン賞(『ハウス&アトリエ・ワン』07年)等多数。