作品について

Port B最新作! 池袋西口公園を舞台に“東京のリアル”に挑む

ツアー・パフォーマンスやインスタレーションなど、現実の都市、社会の記憶や風景、メディア等を引用し再構成する手法で、国内外から大きな注目と期待を集めるPort B。F/T09春ではその活動の集大成として、代表作『雲。家。』『サンシャイン63』の2作品を再創造、同時再演し話題を呼んだ。F/T09秋では、フェスティバル/トーキョーが共同製作として名を連ね、現代演劇の可能性を探求する新たなクリエーションに挑む。
新作『個室都市 東京』の舞台は、池袋西口公園。多様な個が交わるこの公共の場所で、アーティスト・高山明が提示するのは、個室をユニットとしたインスタレーション、そこで展開する映像作品、そして新たなツアー・パフォーマンスである。都市に潜む様々なプライベート空間への綿密なリサーチや、そこで生活を営む人々への膨大なインタビュー等を通して、虚構と現実、プライベートとパブリックが交錯する新たな演劇作品が、企てられようとしている。
『個室都市 東京』という「場」を通して浮かび上がる“東京のリアル”。この秋フェスティバル/トーキョーで見逃せない一作となるに違いない。また、このプロジェクトは、フェスティバル/トーキョーでの世界初演後、オーストリアのウィーン芸術週間をはじめ、幾つかの都市での招聘公演を予定している。

『個室都市 東京』の3つの機能

「いま、ここ」のリアルに接続する『個室都市 東京』

『個室都市 東京』では、池袋西口公園にプレハブ等を仮設し、個室をユニットとしインスタレーションを立ち上げる。池袋西口公園は、老若男女、国籍も様々な人たちが日常的に集まったり、通りすがったり、生活をしたりしている。そこに突如出現するハードとしての『個室都市 東京』は、多様な人たちのコミュニティの中に異物として混入されるのでも、そのるつぼの中に溶け込むわけでもない。このインスタレーションは多様な東京の様相を映し出す装置として、訪れた観客との対話が始まる「場」となるだろう。池袋西口公園という「いま、ここ」のリアルな「場」でしか成立しえない、Port Bならではの演劇的な仕掛けが、観客を待ち受ける。

ビデオ・インスタレーションの鑑賞

『個室都市 東京』に訪れる観客は、その個室に設置された作品、ビデオ・インスタレーションを鑑賞することができる。その内容は、壁を一枚隔てた向こう側にいる、池袋西口公園に関わる人たちへのインタビュー映像となる予定。それらは、『個室都市 東京』の外側に居た・居るはずの人たちのプライベート、そしてその人たちを取り巻く都市の現実を映し出す作品として、単なる「鑑賞」の粋を超え、観るものに何らかの作用を及ぼすものとなるだろう。作品を観終わり、池袋西口公園に一歩踏み出した瞬間、そこに広がる景色はどのように見えるだろうか。
なお、このビデオ・インスタレーションは、好きな時に訪れ、好きなだけ滞在することができるシステムを予定している(予約不要、1時間500円〜、24時間オープン予定)。

Port Bが切り拓く、ツアー・パフォーマンスの新境地

この作品に訪れた観客は、オプションのメニューとして用意されたツアー等に参加することもできる。ツアーは池袋西口公園を基点として訪ね歩くことができる範囲のもので、参加者はナビゲーションに従いながら、東京に営む人々の日常生活を何らかの形で追体験するものとなる予定。これまで『東京/オリンピック』や『サンシャイン62』、『サンシャイン63』等、数々のツアー・パフォーマンスに挑み、その強いメッセージ性と、演劇の枠を逸脱した斬新さで演劇界に衝撃をもたらしてきたPort B。虚構と現実、プライベートとパブリックが交錯する当プロジェクトの中で、今度はどんなツアーが仕掛けられるのか、期待が高まる。