作品について

"Tonight, we won´t be playing for your money. Tonight, we will play with your money."

『デッド・キャット・バウンス』は「株式市場パフォーマンス」である。金、世界的キャッシュフロー、権力、企業、株式投機、金銭欲や恐怖という「市場」を取り巻くテーマを扱う作品というだけでなく、市場そのものに接続したパフォーマンスなのである。

90分間の公演中、観客から払われたチケット料金は、E-証券取引口座を通じて次々とロンドン証券取引所に投資される。1公演につき、1%の利益を出すことが目標。目標を果たした場合は利益を観客と山分けする(もともとは彼らのお金なのだから利潤の配当ということになる)。逆に目標を果たせなかった場合は、この失態に悪態をつきながら観客を空腹のまま帰らせてしまうことになる。

舞台上の出演者は、プロの株トレーダーが日常的に使用するダイアグラムやグラフに囲まれる。インタビュー映像やコンピューターの画面等がちりばめられたパフォーマンスのリズムは、公演当日における証券取引所でのレートの動きによって決まってくる。株のパフォーマンスやマーケットのドラマが、舞台上のドラマツルギーを定めてゆくのだ。俳優2名、技術パフォーマー3名、そしてミュージシャン1名が常時インターネットに接続しながら、観客を株のリアルへと誘導する。実際に株を買ったり売ったりしながら、マーケットの構造をやさしく解説。さらにはネット上で投資したい企業をリサーチし、投資対象を観客と共に決定。金銭欲と恐怖に支配された観客は、取引のスリルとリスクを共有しながら投資を続ける。

買う。売る。つかむ。金を儲けるのにどうすればよい? もっと金を儲ける方法は?

他人が株価クラッシュを処理するように、自分が取引から降りるべきタイミングはどうやって分かる? どうして取引はこんなに楽しい? 究極の金融系パフォーマンスが、ついに東京初上陸!

【用語解説】デッド・キャット・バウンスとは? 

「デッド・キャット・バウンス」は金融業においてトレーダーが使う比喩的な用語である。株価の激しい下落の後には一時的で緩やかな上がりがあり、その後また下落が続くという現象を示している。一時的な株価の上昇は決して根本的な回復につながるものでなく、『高いところから落ちたら死んだ猫も跳ね返る』のと同じ、という意味で使われる。