トランスフィールド from アジア
ファンラオ・ダンスカンパニー『Bamboo Talk』『PhuYing』
ヴィヴィアン佐藤コメント
小鳥のさえずりから始まる舞台は、水田や農場における労働やその土地とダンサーの身体にも残っているかもしれない古武術の片鱗であろうか。ミニマルテクノがあたかも大地と身体の鼓動とも言える現代、高温多湿の土や水のラオスではなく、乾いたステージで繰り広げられるコレオグラフィは印象的だ。刻々と変化する日差しや時間帯、傘により顔が見えない演出は固有性が没し、その土地の自然発生的な民族性が際立つ。人工月光の下の儀式は、芸術と芸能の対峙、そして芸能が生まれた原初の記憶を呼び起こす。
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ヴィヴィアン佐藤(美術家)
美術家、文筆家、非建築家、ドラァグクイーン、プロモーター。ジャンルを横断して独自の見解ですべて分析。自身の作品制作発表のみならず、「同時代性」をキーワードに映画や演劇、都市など独自の芸術論で批評を展開。サンミュージック提携。