会場 | にしすがも創造舎 |
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日程 | 11/11(金) 19:00 11/12(土) 15:00★ 11/13(日) 15:00★ 受付開始は開演の1時間前、開場は30分前 ★=終演後、ポスト・パフォーマンストークあり |
上演時間 | 120分(予定・休憩なし) | 言語 | マレー語、英語上演 日本語字幕 |
一般前売 | 自由席(整理番号つき) ¥3,500 (当日+500円) |
先行割引 | ¥2,500 |
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5演目セット | ¥2,800 |
3演目セット | ¥3,000 |
学生 ※当日券共通。当日受付で要学生証提 | ¥2,300 |
高校生以下 ※当日券共通。当日受付で要学生証または年齢確認可能な証明書の提示 | ¥1,000 |
母娘のあいだに起こった「宗教問題」の行方は――?
民族間、宗教間に生まれる摩擦、緊張を、軽やかな笑いを交えて描く演出家、ジョー・クカサス。彼女が芸術監督を務めるインスタントカフェ・シアターカンパニーが、シンガポールの新鋭作家、アルフィアン・サアットの家庭劇で初来日する。結婚を機にイスラム教に改宗した母と、ムスリムの学生団体の副代表をつとめる娘。ヤスミン・アフマドの映画『ムアラフ 改心』に触発され執筆された本作は、恋愛、結婚といった身近な題材を通じ、多文化共生の葛藤を浮かび上がらせる。
あらすじ
ナディラは、マレーシア国籍のマレー人の父、シンガポール国籍の中華系(イスラム教に改宗)を母に持つ、女子大生。大学のムスリム団体の副代表をしている。彼女は、異なる宗教を持つ学生が互いをどのように尊重できるかを議論する集まりを企画している。ある日、ナディラの母は、ムスリムでない男性と再婚をすると言い出す。家庭内でも同じ問題を抱えた時、ナディラは大学の中で様々な宗教の間にどのように調和を生み出すのか。母と娘は、異なる神を讃えることができるのか?愛と信念、どちらが勝つのか。
★=ポスト・パフォーマンストーク ※その公演のチケットをお持ちの方は日時を問わず入場可(ただし終演後) 11/12 (土) 15:00の回 ゲスト ジョー・クカサス×アルフィアン・サアット×滝口健(シンガポール国立大学英語英文学科演劇学専攻リサーチフェロー) 11/13 (日) 15:00の回 ゲスト 行定勲(映画監督)×シャリファ・アマニ(『NADIRAH』出演) 司会 夏目深雪(映画・演劇批評家、編集者)
フォトギャラリー
アーティスト・プロフィール
アルフィアン・サアット
詩人、作家、劇作家
シンガポールで最も知られている劇団のひとつであるW!LD RICEの座付き脚本家である。これまでに3冊の詩集、短編集『廊下』(1999)、超短編小説『Malay Sketches』(2012)、脚本作品『Cooling Off Day』(2012)を出版している。脚本家として、シンガポールの演劇賞であるLife! Theatre Awards では、最優秀オリジナル脚本賞に10度ノミネートされ、そのうち『Landmarks』(2005)、『Nadirah』(2010)、『Kakak Kau Punya Laki』(2013)、『Hotel』(2016年)で受賞。また、マレーシアの舞台芸術賞BOH Cameronian Arts Awardでは、『The Secret Life of Nora』(2011年)、『Parah』(2013年)で受賞している。作家としては、2001年に短編小説や詩の分野に贈られるGolden Point Award for Poetryで最優秀賞を受賞。『廊下』、『A History of Amnesia』(2004)、翻訳作品『The Widower』(2016)でthe Singapore Literature Prizeを受賞している。
ジョー・クカサス
劇作家、演出家、俳優
マレーシアの多様な民族、宗教、文化から起こる緊張関係を、政治的な風刺コメディとして描くことを特徴としている。 クカサスの演出作品は、古典から現代演劇まで多岐に渡る。これまで、中華系移民の世界をシャイロック、マレー人イスラム教徒の世界をアントーニオとして描いた『ベニスの商人』(2000)や、インド伝統舞踊カンパニーと共同して制作された野外劇『真夏の夜の夢』(2012)などを発表している。 また、マレーシア人若手作家との作品創作も精力的に行っている。シャノン・シャー作『Air Con』(2009)は、エリート寄宿学校で起こったトランスジェンダー殺害事件を描いた作品である。ジェンダー問題をはじめ、同性愛嫌悪、宗教、いじめをテーマに創作された。その他、外国人恐怖症と人種との関係を描いた『Flies and Foreigner』(リズワン・オスマン作、2004)、マレーシアの政治家の暗殺事件を描いた『Hero』(アルン・スブラマニアン作、2011)を演出した。 国際共同制作には世田谷パブリックシアターとのコラボレーション作品『あいだの島』(2000)がある。マレーシアと日本の俳優を起用した多言語演劇である本作では、共同脚本と演出を手がけた。また、世田谷パブリックシアターの呼びかけにより始まった3年に渡るコラボレーション企画にも参加。2005年にインドネシア、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシアの作家/演出家と共同で創作した『ホテル グランド アジア』を発表している。2006年にマレーシアで初演した『ブレイク-ィング』は東京とシンガポールをツアーし、2017年には『Raj』『the End of Tragedy』のツアーが予定されているなど、国内外で精力的な活動を行っている。 俳優としてはマレーシアとシンガポールの両国で高く評価されており、多数の賞を受賞。公演や演劇ワークショップも行っており、マレーシアをはじめ台湾、日本、シンガポール、ブラジル、ニューヨーク、香港など世界各地で開催している。 アルフィアン・サアットの戯曲を演出したものはこれまでに3作品ある。2011年に上演され、シンガポールの総選挙を描いた『Cooling Off Day』。オーストラリアのフェスティバルにも招聘された『Parah』(2011)では、民族と友情を描いた。そして民族、宗教、家族をテーマに創作された『NADIRAH』(2009)は、シンガポールとマレーシア、そして今秋東京で上演される。
インスタントカフェ・シアターカンパニー
1989年、ディレクターのジョー・クカサスを中心に、クアラルンプールで設立された劇団。名前は、初演時の会場がカフェだったことに由来する。役者に限らず、ミュージシャン、作家、弁護士、教師といった様々な社会階級からメンバーを集め、政治風刺を交えたブラック・コメディ作品を発表、人気を博す。物語を通じて、同時代のマレーシア社会を再考させることをミッションとしている。
http://instantcafetheatre.com/キャスト/スタッフ
作 | アルフィアン・サアット |
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演出 | ジョー・クカサス |
出演 | ファラ・ラニ、シャリファ・アマニ、イエディル・プトラ、パトリック・テオ、ネオ・スウィーリン |
舞台美術 | メリッサ・テオ |
照明 | リム・アンスウィー |
音響 | ン・チョークアン |
衣裳デザイン | シャーガー・チャンドラ・セカラン |
舞台監督 | ボボ・シン |
舞台監督アシスタント | ケイリー・リム |
演出部 | ダブ・ロウ |
共同製作 | メリッサ・テオ |
製作 | インスタントカフェ・シアターカンパニー |
<東京公演> | |
技術監督 | 寅川英司 |
技術監督アシスタント | 河野千鶴 |
舞台監督 | 渡部景介 |
小道具・演出部 | 小山内ひかり |
音響コーディネート | 相川 晶(有限会社サウンドウィーズ) |
照明コーディネート | 佐々木真喜子(株式会社ファクター) |
字幕 | 幕内 覚、上野詩織(舞台字幕/映像 まくうち) |
翻訳 | 上原亜季 |
テクニカル通訳 | 山田規古 |
宣伝美術 | 阿部太一(GOKIGEN) |
フロント運営 | 米原晶子 |
制作 | 砂川史織、三竿文乃、喜友名織江 |
インターン | 黒川知樹、籠田博美、福井花 |
記録写真 | 青木司 |
記録映像 | 株式会社彩高堂 |
共催 | 国際交流基金アジアセンター |
主催 | フェスティバル/トーキョー |
アジアシリーズ vol.3 マレーシア特集
多民族社会の現実に応答する多様な表現
マレー系、中華系、インド系住民などで構成される多民族多言語国家、マレーシア。外資系企業の誘致や、IT、重工業の充実といった経済政策を通じ、積極的なグローバル化を図ってきた同国のリアルな日常、その葛藤とは――。
同時代の演劇、パフォーマンスを紹介する「公演編」とディスカッションやゲームを通じてマレーシアの社会、文化を伝える「レクチャー編」からなるプログラムには、さまざまな民族的バックグラウンドを持つアーティストが参加。建国間もない1960年代生まれのジョー・クカサス、ウォン・オイミンと、高度成長へと向かう70年代後半から80年代生まれのリー・レンシン、ムン・カオ、スリ・リウら、異なる世代のつくり手の眼差しも、マレーシアの現在をより多層的に描き出す。
今回のF/Tのコンセプトは「境界を越えて、新しい人へ」。異なる言語、宗教、生活習慣を持つ民族で構成されたマレーシア社会において、アーティストが抱く課題意識、表現手法は、今、まさにグローバル化が生み出す諸問題に向き合いつつ、多様性のあり方を探る日本の観客とも、深く響き合うはずだ。
アジアシリーズとは?
アジア地域から毎年1カ国を選定し、その国の舞台芸術を中心とするアートを特集するシリーズ。綿密なリサーチを通して知り得た歴史、文化、社会背景を踏まえつつ、現地で活動するアーティストを紹介、さらに多様な言語、文化、身体のあり方を前提とした継続性のある交流を行なう。F/Tではこれまでに韓国(F/T14)、ミャンマー(F/T15)を特集。いずれにおいても、各国のアートシーンを俯瞰しつつ、それぞれの社会のあり方を反映する気鋭のアーティストの作品をキュレーションしてきた。
マレーシアのマルチメディア・アーティストのファイルズ・スレイマンと、現代美術家ロスリシャム・イスマル(イセ)。それぞれのアプローチで都市を捉え、さまざまな地域で先駆的なアートプロジェクトを展開し注目を集める彼らを招き、同国におけるアートシーンやカルチャーの現状について、都市やコミュニティに焦点をあてたトークを開催する。
ファイルズ・スレイマン
1982年プタリン・ジャヤ生まれ。ビジュアル、マルチメディア・アーティスト。マレーシアのマルチメディア大学MMU Cyberjayaで映画とアニメーションを学ぶ。主にアナログな手法を用いながら、デジタル様式も取り入れる作品で、インディーズバンドのミュージックビデオの制作、短編映画のアニメーションの制作、音楽イベントでのVJ、舞台演出など幅広い活動を展開している。日常に溢れる物事を主題として扱い、ライブに近いかたちで様々な作品を手掛ける。ユーモアにあふれた親しみやすい物語や手法の中に、シニカルな社会的なメッセージが込められた作品はマレーシアのアート関係者の中でも高い評価を受けている。Digital Art + Culture(DA+C)フェスティバルのプログラム・ディレクターも務める。
ロスリシャム・イスマイル(イセ)
1972年コタバル生まれ。マラ工科大学卒業。都市コミュニティにおける個人的な経験と大衆文化をもと創作する現代美術家。インスタレーション、ビデオアート、参加型プロジェクトなどその表現方法は多岐に渡る。主な作品にマレーシアの家庭に伝わる料理や伝統をテーマにした「The Lagkasuka Cookbook」(2012)は、英国統治時代に国境が引かれたマレーシアとタイの狭間の地域で生まれた軍隊の食事「マウンテンライス」を、その土地に暮らす祖母の昔の記憶を頼りに、レシピとイラストをまとめ一冊の本にするというアートプロジェクト。またシンガポール・ビエンナーレでは地元の各家庭の冷蔵庫の中身を展示するインスタレーション作品「Secret affair」(2015)を発表し、食を通じて、その土地で暮らす人々やコミュニティ、生活様式や文化を浮かび上がらせる作風で知られている。
聞き手:小川希 (Art Center Ongoing 代表/TERATOTERAディレクター)
1976年神楽坂生まれ。2001年武蔵野美術大学卒。2004年東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。2002年から2006年に亘り、大規模な公募展覧会 『Ongoing』を、年一回のペースで企画、開催。その独自の公募システムにより形成したアーティストネットワークを基盤に、2008年に吉祥寺に芸術複合施設Art Center Ongoingを設立。現在、同施設代表。また、JR中央線高円寺駅~国分寺駅区間をメインとしたアートプロジェクト『TERATOTERA(テラトテラ)』のチーフディレクターも務める。
会場 | 東京芸術劇場 アトリエイースト |
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日程 | 10/22(土) 15:00 |
入場料 | 500円(予約優先) |
言語 | 英語(日本語逐次通訳付き) |
共催 | 国際交流基金アジアセンター |