F/T マガジン

ウェン・ホイ
インタビュー:ウー・ウェングアン(呉文光)、ウェン・ホイ(文慧)(生活舞踏工作室)

インタビュー:ウー・ウェングアン(呉文光)、ウェン・ホイ(文慧)(生活舞踏工作室)

中国社会の急激な変化のなかで確固不抜なスタンスを貫きながら活動を続けている「生活舞踏工作室」の ウー・ウェングアン(呉文光)とウェン・ホイ(文慧)。インディペンデントという立場から制作者として、また、表現者たちの交流の場の主宰者として中国のアート界で発言する。中国の芸術の現状に危惧の念を抱きつつ挑戦を続けているふたりの想いとは......。

----F/T10で上演される『メモリー』には、1時間のショートバージョンと8時間のロングバージョンがありますね。ひとつの作品に二つのバージョンがあるというのはとても興味深いですし、なによりも8時間という時間の長さには驚きました。

  フランスで開催されたフェスティバルに合わせて制作したのが『メモリー』の1時間バージョンでした。ただ、私たちが60年代、70年代に経験したことを表現するには、その1時間バージョンだとまるで「圧縮されたビスケット」のようでしかなかったんです。それで、ロングバージョンを制作しました。一日は24時間。8時間が三つで構成されています。8時間仕事をして、8時間自分の時間を過ごし、8時間睡眠をとる。ロングバージョンは一日の三分の一にあたるわけです。

ウェン・ホイ(文慧)
生活舞踏工作室(Living Dance Studio)振付家・ダンサー。
雲南省生まれ。13歳より雲南芸術学校でダンスの専門教育を4年間受ける。1985年から北京舞踏学院で振付を学び、89年に卒業。その後、中国政府文化部直轄の大舞踊団、東方歌舞団にて活動を続ける。自己表現への探求心が高まり94年、NYに6ヶ月間滞在し初めてモダンダンス、コンテンポラリーダンスのカンパニーや劇場と出会う。帰国後、ウー・ウェングアンとともに生活舞踏工作室を結成。

ウー・ウェングアン(呉文光)
生活舞踏工作室(Living Dance Studio)映像・ドラマトゥルギー、構成、プロデュース
1956年、雲南省生まれ。74年、昆明の高校を卒業後、農村へ下放。78年に雲南大学入学。卒業後、高校教師の職を経て85年、昆明電視台にジャーナリストとして入局。88年、北京に移り中国中央電視台(CCTV)の仕事をしながらインディペンデントの映像作家およびライターとして活動を始め、翌年独立。初作品『流浪北京:最後の夢想家たち』(90年)以降、個人の生活や中国社会に焦点をあてた作品を精力的に制作。生活舞踏工作室の制作、草場地工作站の運営などインディペンデントな活動を続けている。