----米国人作家デニス・クーパーとは、ここ数年共同作業をつづけられています。彼とのコラボレーション作業はどのように進んでいくのでしょうか。
GV 作品によって異なります。また彼は05年まではロサンゼルスにいましたが、今はパリに住んでいるので、いまは以前の「メール」にとってかわり「会話」によって作業が深められていきます。おそらく彼が、私のプロジェクトに関してのいちばんの話し相手です。作品に関して、彼と最も意見を交わすうように思います。ですから彼は作品のテキスト執筆者にとどまらず、作品の構造に関しても指示をだすドラマターグのような存在であるといえます。ちなみに本作では、中盤の、体操コーチとロックスターの対話テキストが特におもしろく仕上がりました。観客にはひとつの声しか聞こえてきませんが、おのずとそれがコーチとロックスターとの間で交わされている対話であることが分かってきます。けれどさらによく耳を澄ましていると、もしかするとこれは精神分裂症なコーチの一人芝居かもしれない......、とも思えてきます。つまり私はここでも、観客の思考を試しているわけです。
----どうやらあなたの作品を十分に楽しむためには、頭を自由に解放して、際から際に揺さぶられる思考について行けるようにしなければならないようですね。
GV ええ、でもただのインテリな知的作業を押しつけるつもりはありません。私は観客を感情的に呑みこんで、際から際に、体ごと揺さぶりをかけたいのです。ちなみに私はよくこの感覚をスノーボード競技に喩えます(笑)。スノーボード競技では、一歩まちがえたら死んでしまうかもしれない極限まで自分を追い込みますよね。そして彼らはこれ以上無理という極限に立つことで、大きな生の充実感を味わうのです。私もこれと似た感覚を舞台で生み出したいと思っています。どちらかといえば過激なテーマを選び、際から際に思考を推し進めることで、今までにないエクストリームな体験を創造したいのです。