2月4日、フェスティバル/トーキョーのプレオープニングを飾る国際シンポジウム
「今日の文化を再考する―米国・フランス・日本の文化システムを巡って」が開催されました。
東京芸術劇場中ホールを埋め尽くす600名を超える聴衆が集まりました。
(c)masahiro hasunuma
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そのお目当ては、なんといっても、ジャック・ラング元仏文化大臣。
このお方が、どれだけすごい人かを一言でいうならば・・・私たちが今日享受している、文化や芸術をめぐる根本的な考え方を世界で提示し、実践し、システム化した人ということになるでしょうか。ジャック・ラングがいなかったら、今私たちの活動のおおもとを支えている、「公共による芸術支援の必然性」という考え方そのものが成立していないといっても過言ではないでしょう。
ミッテラン政権下、40歳で文化大臣に大抜擢され、82年から93年まで12年間の長きにわたり大臣職つとめたジャック・ラングは、フランスで最も有名で人気のある政治家の一人。
そんな人物ですが、彼がそこまで全世界的に影響力のある文化政策を推進することができたのは、彼こそが、芸術を愛してやまない現場人間だったからともいえるでしょう。若干24歳でナンシー世界演劇祭を自ら創設、世界的アーティストを次々と発掘・輩出し、33歳で国立シャイヨー宮劇場芸術監督に任命されたという、演劇界の若き指導者であったジャック・ラング。奇しくも彼が78年にナンシーに招聘した『金柑少年』が、今回フェスティバル/トーキョーの中でもリ・クリエーションとして再演されるというのも感慨深いものがあります。
(c)masahiro hasunuma
今回、コーディネータの根本長兵衛氏をはじめ、多くの方々のご尽力によって実現することができたシンポジウム。フェスティバル/トーキョーという、東京にようやく誕生を許された世界的な演劇祭のオープニングに、ジャック・ラング氏をお迎えし、その力強い演説と応援を共有することができたことは、私たちが目指すフェスティバルの幕開けとして最上級のエールになったと確信しています!
F/T program director