『あの人の世界』(サンプル)
ポスト・パフォーマンストーク
11月8日 日曜日 東京芸術劇場小ホール1にて
松井周×岩井秀人(ハイバイ)
鋭角と鈍角、下り坂と上り坂、それぞれが真逆の方向を差す、ふたつの二等辺三角。
まるであべこべの三角が、モノガタリを象徴するかのように重なり合う。
中央にある一本の細い柱を目で追えば、舞台を見下ろすように浮かび上がる、もうひとつの舞台。
不思議な構造の舞台に乗った3つのパイプイスに、『あの人の世界』作・演出の松井周さん、ゲストの岩井秀人さん、そして司会の野村さん(ドラマトゥルク)が腰掛けました。
★ ストーリーについて
岩井さん:「ちなみに今までに『サンプル』の作品を見たことがある方はどのくらいいらっしゃいますか?
(お客様の半数ほどが挙手)今までに見たことがある人なら分かると思いますが、今回は凄まじく分かりやすい!
(お客様方、微妙な反応)あれ、そうでもない?(笑) 松井くんは、基本的に『いわゆるモノガタリ』では無い人。今回の話では、現実では人同士って相容れないし、相容れる必要はあるの?ってことを松井くんは描きたかったんだと思う。あと、松井くんの性癖が出てて(笑)どんどんカオスになる」
★ 舞台構造について
岩井さん:「(上部にある舞台を見上げ)この土台がすごいガッチリしてる」
松井さん:「今回は三層構造にしようとなって、上はガッチリで、中と下はカオスな空間だから、どちらが上下でも良いよう、こういう形に」
岩井さん:「最初三層って聞いた時、『現実・想像上・なにか』の三つになると思ったんだけど中下が想像上で、一緒になったんですね」
★ 岩井さんの気になったこと
岩井さん:「(登場人物に)首輪で繋がったオバサンと女の人がいたけど、アレ何?」
松井さん:「何なんでしょうね〜(笑) 自分ももし首輪でつながれて、主人と犬の関係が入れ替え可能なのって楽しそうって思って。」
岩井さん:「楽しそう!?(笑)楽しそうって思った方―?
(一名のお客様が挙手)いた(笑)一人だけしかいませんでしたが、そのズレはどう?」
松井さん:「それにはいつも悩みますよ」
岩井さん:「悩んでないでしょ(笑)いつもやってるでしょ(笑)」
松井さん:「みんなと楽しみたいんですが・・・(笑)」
岩井さん:「あぁ、あのシーンでお客さんが盛り上がって立ち上がっちゃうくらいの(笑)」
松井さん:「そうそう(笑)」
★ 演出について
岩井さん:「松井くんの作品は、セリフの比重が少ないよね」
松井さん:「モノと関わる劇が良いんだよね。例えばこのイスを自分の子供だと思って撫でてると、マジで可愛いって思えてきて抱きしめる、みたいな。モノとの繋がりって、すぐできるんですよ」(会場がどよめく)
岩井さん:「いつも話の例示がおかしい(笑)」
野村さん:「演技ではセリフと関わるように、俳優同士が関わる」
松井さん:「この(舞台中央)棒も俳優だから、関わらせたい。そして真っ白な舞台の背景は、俳優に妄想して作ってもらいたいです。」
岩井さん:「(人や動物という)カテゴリー分けがないんですね」
松井さん:「そう。頭の中にパッと出て来た人が何人かいて、それを掛け合わせてみました。絵の具を混ぜ合わせた感じですね」
仲のよいお二人のトークが炸裂し、常に笑いに包まれていた会場ですが、岩井さん、松井さんの演出にかける想い、こだわりが引き出たトークとなりました。
広報クルーT